
Eclipse(Pleiades含む)でGitを使い始めるための最短ガイド。Share Projectから.gitignore作成、初回コミット、GitHub等リモート連携、ブランチ運用の基本、よくあるエラー解決まで、初心者でも迷わない具体的な手順を順番に解説します。
この記事のゴールと前提

- Eclipse上で既存/新規プロジェクトをGit管理に切り替えられる
- .gitignoreを理解して、不要ファイルをコミットしない
- 初回コミット→リモート連携(Push)まで完了できる
- 基本のブランチ運用と、つまずきやすいエラー解決がわかる
前提:JDKとEclipseの導入が済んでいること。未済なら先に 導入ガイド を参照。
用語ミニ辞典(最小限)
- Git:ソースコードの変更履歴を管理するツール(分散型)
- リポジトリ:Gitで管理される保管庫(プロジェクトの履歴)
- コミット:変更点のスナップショットを保存すること
- ブランチ:開発ライン(mainとは別に機能開発用の枝を作れる)
- リモート:オンラインの共有リポジトリ(GitHub等)。通常名「origin」
- Push/Pull:ローカル→リモートへ送る/リモート→ローカルに取り込む
事前準備:GitとEGitの確認
- PCにGitが入っているか確認(任意)
ターミナル/コマンドプロンプトで
git --version
を実行。入っていなければ公式からインストール。 - ユーザー情報を設定(一度だけ)
EGitからも設定できます(Preferences > Team > Git > Configuration)。git config --global user.name "Your Name" git config --global user.email "you@example.com"
- EGit(Eclipse Gitプラグイン)の確認 Pleiades All in One なら標準同梱が多いです。メニューに Team 項目があればOK。
.gitignoreを作る(コピペ可)
IDEやビルド生成物をコミットすると、差分がノイズだらけになります。.gitignoreで不要ファイルを除外しましょう。以下をプロジェクトのルートに作成します。
# --- OS ---
.DS_Store
Thumbs.db
# --- Eclipse ---
.classpath
.project
.settings/
# --- IntelliJ(将来併用のため)---
.idea/
*.iml
# --- Build outputs ---
bin/
build/
out/
target/
# --- Gradle ---
.gradle/
# gradle-wrapperはバージョン固定に必須のためコミットする(ignoreしない)
# gradle/wrapper/gradle-wrapper.jar などは含める
# --- Maven ---
# mvnw, mvnw.cmd はコミットする(ラッパー)
# .mvn/wrapper 内のファイルもコミット
# --- Logs/Temp ---
*.log
tmp/
重要:Gradle/Mavenのラッパーはプロジェクトを再現可能にするためコミットします(誤って無視しない)。
初回コミットとメッセージの書き方
- プロジェクト右クリック → Team > Commit… を開く。
- 画面左側の「Unstaged Changes」から、コミットしたいファイルを選択し+で「Staged Changes」へ移動。
- メッセージ欄にコミットメッセージを入力し、Commit(ローカル保存)または Commit and Push(リモートへ同時送信)。
メッセージは短く具体的に。慣れたら「Conventional Commits」風にすると管理が楽です:
feat: 初期Javaプロジェクトを追加
fix: NPEになる箇所をnullチェックで修正
docs: READMEにビルド手順を追記
refactor: TaskServiceの責務を整理
chore: .gitignoreを整備
後から小さな修正を同じコミットにまとめたい時は「Amend」を使います(Commitダイアログのチェック)。
リモート連携(GitHub/GitLab/Bitbucket)
1) リモートを用意する
- Gitホスティング(例:GitHub)でNew repositoryを作成(READMEは未作成でOK)。
- 表示されたリモートURL(HTTPS or SSH)を控える。
2) EGitからリモートを設定してPush
- プロジェクト右クリック → Team > Remote > Push…
- URIにリモートURLを貼り付け。 – HTTPS:ユーザー名とパスワード/トークン(PAT) – SSH:秘密鍵(~/.ssh/id_rsa 等)を使用
- 「Next」で送信元(例:
main
)と送信先(refs/heads/main
)を対応付け。 - Finish → 初回Pushが成功すればOK。
HTTPSとSSH、どちらを使う?
- HTTPS:設定が簡単。GitHubではパスワードの代わりにPersonal Access Token(PAT)が一般的。資格情報はEclipseのSecure Storageに保存可能。
- SSH:一度鍵を作ればパスワード入力なしで快適。複数リポジトリでも楽。
Pull / Fetch / Merge の違い
- Fetch:リモートの新しい履歴を取得(ローカルには反映しない)
- Merge:取得済みのリモート履歴を作業ブランチに取り込む
- Pull:Fetch + Merge をまとめて実行
安全に行きたい場合は Fetch → 差分を確認 → Merge の順がオススメです。
ブランチ運用の超基本
まずは main(または master)を守り、機能ごとに feature/○○
ブランチを切って作業 → 完了後に main にマージ、が基本形です。
- プロジェクト右クリック → Team > Switch To > New Branch…
- ブラン名:
feature/todo-rename
など、目的が分かる名前に。 - 作業→コミット→Push(Team > Remote > Push)。
- mainへ取り込むときは、Team > Merge… を使用。競合が出たら比較ツールで解消。
小さな粒度でコミットし、マージ前にローカルで Pull(最新化) してから統合すると、コンフリクトが減ります。
よくあるエラーと対処
- non-fast-forward(Push拒否):リモートに自分の知らない更新がある。Pullで取り込み→競合解消→再Push。
- ユーザー情報未設定:コミット時に「user.name/email 未設定」。Preferences > Team > Git > Configuration で設定。
- LF/CRLFの警告:
Windowsは
core.autocrlf=true
、macOS/Linuxはinput
が無難。Eclipseなら Preferences > Team > Git > Configuration で設定可能。 既存プロジェクトで変更が大量発生するなら、まず合意を取ってから。 - 巨大ファイルを誤コミット:動画・ZIP等はLFSを検討。履歴から消すには filter-repo など高度な作業が必要。
- リモートURL間違い:Team > Remote > Push でURIを見直す。Remote > Configure Pushから編集可。
- detached HEAD:特定コミットを直接チェックアウトした状態。Switch To > main などブランチへ戻る。
- Eclipse固有の差分ノイズ:.project/.classpath/.settings をコミットしない、またはチームで固定の設定を使う。
Eclipse便利設定(Git連携を快適に)
- Team Decorations(ファイル状態のアイコン表示):Preferences > Team > Git > Label Decorations を有効に。
- Compare with HEAD:ファイル右クリック → Compare With > HEAD Revision で差分確認。
- Blame(注釈):Team > Show Revision Information で行ごとのコミッター/日時を表示。
- Save Actions:保存時に整形・import最適化(Java > Editor > Save Actions)。Gitの差分が綺麗に。
- 文字コード/改行:General > Workspace で UTF-8、改行コードはOSに合わせるか統一ルールを決める。
セットアップ完了チェックリスト
- Share Projectで.gitが作成された
- .gitignoreを配置し、IDE/ビルド生成物は除外できた
- 初回コミットを実施(README/.gitignoreなど)
- リモート(origin)を設定し、Push成功
- mainとは別にfeatureブランチで開発してマージできた
この次に知りたい情報
- Maven/Gradle超入門:依存管理とビルドの基本、ラッパーの使い方。
- Eclipseで最初のJavaプロジェクト:パッケージ/クラス設計の型を固める。
FAQ
HTTPSとSSH、どっちを選ぶべき?
最初は設定が簡単なHTTPSでOK。頻用するならSSH鍵を作り、パスワードレス運用に移行すると快適です。
.gitignoreに何を入れればいい?
Eclipseのメタ情報(.project/.classpath/.settings)とビルド生成物(target/build/bin/out)を除外。Maven/Gradleラッパーはコミット対象です。
チームで改行コードがバラバラに…
Windowsはcore.autocrlf=true
、macOS/Linuxはinput
が一般的。プロジェクト開始時に合意を取り、Eclipseの文字コード/改行設定も合わせます。
Pushが拒否される(non-fast-forward)
Pullして競合を解消→再Push。Fetchで差分を確認してからMergeすると安全です。
